スーパーカーブームをぱーん!
70〜80年代に子供たちの間でとてつもない一大ムーブメントが起こりました
【元祖スーパーカーブーム】です。キッカケは少年ジャンプに連載された池上さとし先生の『サーキットの狼』というレース漫画です
少し前でいう豆腐屋さんがクルマに乗ったりする、頭文字がなんちゃら的なマンガです
そこに未知の外国産スポーツカーがあれもこれも…と大集合。そこから火がつき現在では当たり前の様にスーパーカー公道を走っているのですから、凄いというよりありません
ですが、昨今のようにインターネットやSNSが皆無だったにもかかわらず70〜80年代にも全国各地で一斉に『口裂け女』や『ヨーヨー』や『ルービックキューブ』などのパンデミックが起きました。それだけテレビや雑誌の影響力が凄まじかったのでしょう
話は戻ります。そのスーパーカーブームにいち早く乗ったのがプラモデル業界で『サーキットの狼』から出た各スーパーカーのプラモデルが大量にも出回りました
主人公の乗る『ロータス・ヨーロッパ』や『ポルシェ・カレラ』そしてスーパーカー史上最大の人気を誇る『ランボルギーニ・カウンタック』これらのプラモデル人気は現在の『ガンプラ』に迫る、もしくはそれ以上の人気だったかと思います
そして…プラモデル屋さんより商魂たくましいのが各地域の小売り店、このチャンスを逃がすわけがありません
我が町の誇る中型スーパー【ショッパーズ永和】もコレにいっちょかみし始めました
ショッパーズ永和…いかにも田舎町ならではのネーミングセンス(๑•̀ㅂ•́)و✧
さて、一階に食料品、二階に雑貨・寝具・おもちゃ等の品揃えが自慢のショッパーズ永和が一体何を企んだかというと…
【チキチキ・スーパーカープラモ選手権】
一等・五千円分のお買い物券
二等・図書券
参加賞・確かお菓子の袋詰め
このコンテストという子供心と商品券という親心を『むんずと掴んではなさない』作戦におらが町は大賑わい。学校でもその話題で持ちきりなのです
もちろん、僕も参加しました…というか泣く泣く参加する状況に立たされました
まず参加に当たって僕が選んだのは500円位の極めてスタンダードクラスのランボルギーニ・カウンタック。今のプラモデルを作られてる方には理解不能なほどの粗悪品。パーツが合わないとかは当たり前、接着剤も足りるのかどうか…例えるならばおかず盛り沢山お弁当に小さなキンギョの形の醤油差し一つみたいなものでした
そんなスタンダードクラスのプラモデルを僕が作るとどうなるか…上級者との違いを比較して行きます
【熊シャケ】
・部品をニッパーで外す
・セメダインは目分量でパーツをくっつける
・指やパーツに接着剤がついたまま次の工程
・可動式パーツが上手く出来ずにセメダインで接着してしまう
・付属品のシールを貼る・色を塗る概念ナシ
・完成
【上級者】
・部品をニッパーで外す…切った部分に紙ヤスリをかけて凹凸を無くす
・パーツ毎にハケでセメダインを塗って余分な部分は拭き取る
・接着部分が乾くまで待って色を塗る
・可動式パーツはピンセット等を使って細かい部分にも神経を使う
・付属品のシールは使わず、プラカラーを駆使して臨場感のある仕上がりにする
・専用のケースに保存し数日かけて完成させる
もうね(T^T)下準備も心構えも違うのです
これだけでも差は歴然なのに…
もともと僕の性格上、プラモデルでも何でも『その日の内に作らないと気が済まない』というモノ作りに向いていない気性なのです
この難儀な性格が悲劇を招きました…
一気に作った僕に次にやってくるのはナゾの達成感からくる眠気。上にも書いてますが、僕に専用のケースに入れて保存という事は頭の片隅にもありません。せいぜい元々の箱にしまうくらいです
そして、制作場所も机の上では無くほとんどが床の上です。当然子供の僕が睡魔に勝てるはずもなく、出来上がったカウンタックをそのまま地べたに置いて夢の中で『コンテストの優勝者は熊シャケさんのランボルギーニ・カウンタックです』と拍手喝采を浴びるのです\(^o^)/
数十分経った時でしょうか…母親の『ご飯だよ』の言葉
『んーわかった』の返事の後に『パキッ!』という破裂音と手のひらに何かが刺さったかのような痛み
【かうんたっく1号 享年120分弱】
ぺしっ!と事故った僕のランボルギーニ・カウンタック…さよなら僕のかうんたっく…さよなら僕の一ヶ月分のお小遣い(T^T)
ですが…こんな理不尽な事があって良い訳ありません
そこで子供特有の逆ギレ発動です
♫月末になるとゆうちゃんは薄い給料袋の封も切らずに…
僕の…僕のかうんたっくを返せーー!
【かうんたっく1号訴訟…第一回公判】
法廷で母親を訴えます。原告熊シャケは妥協しません
僕と母親との過失の割合は6:4いや7:3…違うな、あえて言おう10:0であると!
『一生に一度のお願いだから!』結構な大泣きだったのでしょう…母親は過失を認め無かったけれど和解金として『500円』を支払うことで訴えを取り下げることにしました
そして翌日また同じ車種を買いに行き、即日仕上げでショッパーズ永和にかうんたっく2号を提出するのですが…
後日、学校帰りにスーパーカー展示場を覗くとプロ仕様の新車の中に紛れてセメダインでかびかぴの僕のかうんたっく2号の姿がご丁寧に製作者の名前付きで…
『なんだコレ!』と心無い友人の一言に『もう二度とプラモデルなんて作らないんだからね』と心に誓ったのです
本日のありがたいお言葉(ー_ー)
その後たびたび泣き落とし作戦を発動しましたが、叶う事はありませんでした
皆さんも一生に一度の必殺技の使いところは間違えないようにね
あと…コンテストの結果なのですが『サイコロキャラメルとカルミンは美味しかったです』
To be next ぱーん!